2015年2月11日水曜日

2月7日の呼吸瞑想を終えて

 2月7日に開催した『呼吸瞑想』について、ご報告いたします。

講師は金澤秀光先生

 当講座の『呼吸瞑想』では、瞑想中、「数息観」といって、吐く息に合わせ、一から十までの数字を数えることを繰り返します。

 これが、簡単なようでありつつ、気を散らせながらではなかなか難しく、つい「十一、十二……」と、幼い頃から積み重ねてきた訓練のせいで、十以降の数字を無意識的に数えていってしまうことも珍しくありません。

 それどころか、数字を数えていながら、いきなり睡魔に敗れ、意識を途切れさせてしまうことさえ、私・稲垣にとっては起こり得る始末です。

呼吸瞑想時の皆様のご様子

 そこで、今回の私は、直前の『一の会・東洋医学講座』で永松周二先生がお話しくださった「母音が持っている気(エネルギー)の指向性」を意識しながら、心の中で、吐く息と共に、数字を唱えてみるようにしました。

 すると、そこにはとても新鮮な楽しさが!

 「いち」から唱えて「とお」へ至ると、早くまた「いち」に戻り、「いち」の音を感じたくて仕方が無くなり、眠ってしまうどころか、惰性で「十一」以降を数えてしまうことすら、一度も無くなってしまったのです。

 今までの私は、単なる記号としての、個性を持たない数字でしか「数息観」を行っていなかったという訳ですね。

 音、すなわち、数字が持つ「気」を意識しながら数息観を行ってみると、また一つ新しい楽しさを、呼吸瞑想に見いだすことが出来ました。

腹式呼吸の指導模様

 『呼吸瞑想』では、腹式呼吸の手ほどきも受けていただくことが出来ます。

 呼吸は、飲食物から獲得した燃料に、火をつけるという働きを持った、生命エネルギーの基盤となる最重要な営みです。

 今後の予定として、金澤秀光先生の『呼吸瞑想』講座は3月7日4月11日・5月9日に、永松周二先生の『気を意識した体の使い方』講座は2月28日3月28日4月25日・5月23日に開催していきますので、ご興味を持たれた方は、いおり鍼灸院までお申し込みいただければと思います。

呼吸と元気(2) 後天の元気―天地の気の特徴

 東洋では、物事を陰陽で認識しようという考え方があります。

 例をいくつか上げますので、イメージするのに用いて下さい。


陽 : 天           形が無い    不可視的    動きが速い    外側          燃やす
陰 : 地   下        形が有る    可視的      動きが遅い    内側          燃料 


下の図―1のように、自然界の天は、春夏秋冬様々に変化します。その天の気を受けて、大地には花が咲き、また河川が凍りついたりと様々に変化します。 

このように、人間は天(陽)と、地(陰)の中間に位置して、天気を受けながら空気を呼吸し、大地から生じた飮食物を摂り入れ、体内で元気を養っているのです。

このようなイメージを人間の生理機能にも当てはめて考えるのが、東洋医学なのです。




                             図―1


 こころの状態は天の気(陽)に相当し様々な代謝と関係が深く、肉体は地の気(陰)に相当し、体内で相互に交流しながら心身を維持しているのです。


 天の気(空気)=代謝を促す 

 地の気(食物)=肉体(物質的)な基盤を養う。


陽の気である天の気=空気は、非常に動きが早く肉体・物質を動かすことに長けています。

肉体の新陳代謝や消化吸収・排泄作用などは、呼吸の状態に左右されるのです。


一方、陰の気である地の気=飮食物は、呼吸によって消化が促され、そのプロセスは比較的ゆっくりとしています。

ですから、数日間、飲食物を摂らないでも生命が尽きることはありません。

 ところが呼吸が停止すると、数分で生命が尽きます。このことから明確なように呼吸は生命にとっては、即時決定的な影響力があるのです。


 このように心身の健康に大きな影響力を与える呼吸が、健康法としてあまり世間に流布されていないのは、なぜだと思われるでしょうか。

 健康は、なにか特別なことをしないと、維持できないとでも考えられているのでしょうか。

 答えは、簡単です。空気は、タダ(無料)だからです。

 そしてあまりにも簡単だからです。

 私達の観念を作り出している教育や報道は、物質主義が中心で経済成長のために消費を促します。

 健康産業経済も同様に、健康になることを強調して特別なことや物を消費することを促しますが、それらによって健康になることはありません。

 なぜなら、みんなが本当に健康になってしまうと、物が売れなくなるからです。

 非常に簡単な理屈ですよね。

 それに、健康は物質で満たされたとしても、必ずしも実現されません。

 幸福観と同じです。

 みなさま、しっかりと息をして生きましょう。





2015年2月7日土曜日

呼吸と元気(1)・・・元気とは

 元気とは精神的にも肉体的にも、充実感にあふれている状態を指して言います。

 決して、病院で検査してどこにも異常が無いという状態ではありません。検査で異常が無くても、見るからに病的で元気の無い人を見かけませんでしょうか。

 東洋医学的には、元気のことを正気とか真気・精気とも称するのですが、現代的には自然治癒力や抵抗力・持久力といった表現と合致します。

 東洋医学では、漠然とした元気の状態を誰にでも分かるように、具体的に捉えるための方法=術があります。

 まずは日常的に使われている、元気の仕組みを東洋医学的に説明いたします。

 元気には、先祖から脈々と受け継がれてきた『先天の元気』と、出生後、飲食と呼吸によって培われる『後天の元気』とに分けます。


 元気=先天の元気+後天の元気


 先天的なものは、もって生まれた体質ですが、仮に先天的に弱い方でもしっかりと生きて行くことができます。

 それには、養生法によって『後天の元気』をしっかりと養うことがポイントです。

 反対に、ご両親からいくらしっかりとした『先天の元気』を受け継いでいても、『後天の元気』を弱めてしまうような生活態度でありますと、病気になりがちでせっかくの身体を弱め、寿命を縮めることになってしまいます。

 この『後天の元気』は、呼吸と飲食で培われるのですが、東洋医学の世界観では、これを「天の気」・「地の気」というように認識します。

 つまり、天の気(陽)とは空気であり、地の気(陰)とは大地から生じた飮食物であり、それぞれ性質に特徴があるのです。


 後天の元気=天の気(空気)+地の気(食物)

天の気(空気)=代謝を促す。


 地の気(食物)=肉体(物質的)な基盤を養う。



2015年2月2日月曜日

1/31 養生講座


1/31 養生講座


 養生講座に参加してきました。

 今回は、永松先生による身体学でした。アドバンスの続きで今回は猿。

 五禽戲の内、猿の動きと呼吸から体の使い方を学びました。

 猿が高いところのものを取ろうとするときの動きをしたのですが、これが意外と難しい。

 気を上にあげてそのあと一気に丹田に下ろしてくる、普段いかにお腹で重心や呼吸をできていないかに気付かされます。

 永松先生の身体学を実際に体現できるようになれば、昔の人たちに近い動き、無駄がなく余分な 力がぬけているので、むしろ力が出てきます。

 力を入れている人よりも体全体でその力をうけるので、いつもよりも重たいものを持てたりします。

 歩き方一つにしても現代人は、無駄が多い。



                       ※永松先生と金澤先生


 これを、少しでも楽に歩けるようになれば、体への負担がずいぶんと楽になり、余裕をもっていろいろなことに取り組めるように思います。

 僕が日常で特にその違いを感じたのは、料理をしている時です。

 いつも切れにくく感じている包丁が、呼吸と体の使い方を覚えてからは、新たに刃を研いだかのように切れ味がよくなったと感じたことです。

 このように日常生活に応用していくと、格段に効率が上がり、日常の感覚も違って来ます。

 次回の養生講座も楽しく、有意義な会になると思います。


  ※ 次回の永松先生による『気を意識した体の使い方』は、2月28日(土)
    金澤先生による『呼吸瞑想会』は、2月7日(土) です。 
    ご興味のある方は、是非足をお運びください。






2015年1月30日金曜日

一の会 養生講座  

   先週24日(土)に行われた永松先生による「一の会 養生講座」は丹田を意識した歩き方についてでした。  

 これまで歩き方といえば背筋を真っ直ぐすることや下を見て歩かないということぐらいで、丹田を意識するというのを今まであまり気にしたことがなかったので、とてもいい体験になりました。
 慣れないと少し歩きにくいですが、上半身がぶれないよう軸をもって歩いていると何か障害があり 転けそうになった時も、重心がしっかりしているので大きな怪我などなりにくいそうです。 


 歩く時 のポイントは力を抜くこと、そして足の裏全体で地面をつかむような感じだそうです。
 安定した大きな木は大地にしっかり根をはっている、そんなイメージでしょうか。 
 今回教わって歩いてみると自分がいかにフワフワして歩いているかがよく分かりました。 
 頭の方 にばかりエネルギーがいって、足腰に意識がいってないんですね。だから肩も凝りやすいし疲れや すいんだと思います。
歩き始める時は「よし!」と気合いを入れて歩くのではなく、深呼吸して肩の力を抜いて歩いてみる。 
それだけで、気の巡り方、身体の使い方が違ってきます。皆さまもぜひ試してみてください!

  ※ 次回の永松先生による『気を意識した体の使い方』は、31日(土)にアドバンス4を行います。まだ若干お席がご用意できます。ご興味のある方は、是非ご参加下さい。
     
   

2015年1月20日火曜日

2015年の初講座を終えて


 1月17日(土)に、2015年の初講座として、呼吸瞑想会が行われました。

一の会 代表 : 金澤 秀光 先生

 今回は、私・稲垣が、一人の受講生の立場から、養生講座──『気を意識した体の使い方』と『呼吸瞑想』の両方──への継続的な参加を通して感じたことを書いてみようと思います。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

① なぜ腹を据えることは難しいのか

 下半身を鍛えること、下腹に意識を置くこと、下腹を中心に深く呼吸をすることの重要性は、よく言われていることです。

 しかし、それを、そのメリットが実感できるほどのレベルで実践するとなると、なかなか難しいことではないでしょうか。

 自分も、腹式呼吸を通じ、その糸口を長らく探してきましたが、2014年、当講座にて、ようやく自分の気というものを制御するためのヒントに触れさせていただけたような感覚がしています。

 どうやら未熟な人は、多くの場合、気を下に降ろそう、自分を落ち着けよう、腹式呼吸をしようとして、本来は外へ広げておいた方が良いものまでをも、抑え、締め付けてしまっているようです。

 腹を据えることを目指すのは大切ですが、そのために胸をふさいでしまうようではいけないようです。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

② なぜ軸を据えることも難しいのか

 自分のパフォーマンスを、安定して、外部環境になるべく左右されずに発揮したい、自分がブレずに済むための軸を持ちたいとは、多くの職業人が願うことではないでしょうか。

 また、姿勢。
 良い姿勢を身に着けたい、なるべくいつも背筋をまっすぐ伸ばしていたいというのも、多くの人が願うことかと思います。

 これも、いざ実践するとなると、なかなか難しいことです。

 つい、斜めに立ったり座ったりをしがちです。

 どうやらここにも、頑張るが故に裏目に出ていることがあるようで、未熟な人は多くの場合、上への意識を細く尖らせてしまうことで、据えようとした軸を、自ら削り折ってしまっているようです。

 東洋医学で「横逆」と呼ぶ現象の一種でしょうか。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 以上をまとめると、①②共に、目標としているのは縦方向に心身を鍛え上げることなのですが、それを実現するための手段・過程としては、意識に横方向への幅を持たせることが役に立つのではないかということでした。

 2015年の自分は、地球に根を張り、宇宙へ枝を広げるイメージで、引き続き養生講座に参加していきたいと思っています。

 本年も、人それぞれのペースで、人それぞれな「自分」を使いこなすための試行錯誤が出来る機会である一の会・養生講座を、よろしくお願い申し上げます。


※ 次回の呼吸瞑想会は、2月7日(土)。
 永松先生による『気を意識した体の使い方』は、1月24日(土)にベーシック3、31日(土)にアドバンス4を行います。




2015年1月17日土曜日

呼吸瞑想会のいきさつ(2)

 数年間、「いおり健康教室」で、呼吸法を行っているうちに、意識的に呼吸をしようと思っても、息がスムーズに入ってこないと訴える方を多く目にするようになってきました。


 これもまた、さまざまな理由と原因があるのですが、共通していることは、緊張が解けないことに起因しています。

 日常があまりに忙しく過ぎていくために、自分が触れたり体験したことが、あまりにも意識化されていないのです。

 意識的には、心はそんなに負担を感じておらず、引っかかりも感じていないのですが、体調が悪い・・・

 患者さんの身体に触れ、身体の状態を通じて会話をしていくうちに、実は心に大きな負担や衝撃を抱えていたり、わだかまっていたりしていることを数多く目にしました。


 感じているのですが、意識化されない。 実はこれ、危機的状況なのです。

 感じている以上、身体は相応に反応しています。

 心のセンサーが、混線して麻痺している状態です。


 半覚醒で、生きている状態と変わらないのです。


 ここに気づかないまま過ごし、一生懸命に取り組み、生きていながら、「こんなはずではなかったのに」という状況に追い詰められます。

 さらには、いつのまにか身体の不調や病となっていることに、気づかない人が圧倒的に多いのです。



 皆様、病は突然なるものではありません。

 そこに至るまでに、日常の細かな様々なことが積み重なって、病的状態に陥るのです。


 毎日毎日の、些細な事にまできちんと感じて対処できる、鎮まった心の感性がとても大切です。


 呼吸法は、簡単に過ぎますが、酸素を取り入れるという以上に、自分の想いを実現するために非常に大切なものです。

 同時に呼吸法だけでなく、心を鎮め、自分と向き合う機会が是非とも必要であると、痛感するようになってきました。


 日常の臨床で、各人に会話を通じて伝えてきましたが、限られた時間内で多くをお伝えするには限界があります。

 そこで呼吸瞑想会を開催しようと思い立ったのです。




 現代人は、「いそがしい」と口にする人が、大変多い。

 実は筆者もその一人ですが、いつの間にか細かな雑務に取り紛れ、心が濁ってしまっている・・・


 多忙であるからこそ、心を鎮め、心の濁りを清め、「いま・ここ」の自分と向き合う時間が必要です。

 
 心は、船でたとえると船長です。

 感覚は、コンパスです。

 船長が異常を察知できず、壊れたコンパスで、ただむしゃらに人生海路を進むだけでは、船体は傷み、燃料も尽きてしまいます。


 「いま・ここ」の自分は一体、どのような状態で、どこへ向かおうとしているのか。

 思考を停止して、自分の身体と心を、ただ坐ってじっと感じて観る。

 先ずは筆者自身が、坐禅と取り組むこととなったのです。

                                         つづく


 詳しくはこちらまで → 『一の会 養生講座』




 一の会 養生講座